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特定秘密保護法の強行採決に抗議し、その廃止を求める声明

2014329

 2013 126日、政府・与党は参議院において秘密保護法案の採決を強行し、法律として成立させた。以下に述べるように、この法案の審議・採決のプロセスと、その内容自体に、民主主義と基本的人権、そして学問研究を脅かす重大な問題が存する。

 そもそも学問研究は、とりわけ歴史学研究は、政治・社会において民主主義が擁護され、学問の自由をはじめとするすべての基本的人権が尊重されてはじめて、正常に発展することができる。民主的な立場に立ち、近・現代史の研究を通じて世界史の全体像を築くことを目標とする。」(本会会則)本研究会は、今回のこの事態を座視することはできない。

 数多くの問題点のうち、本会が重視するのは以下の4点である。


1.       審議、採決のプロセスにおいて民主主義的な手続きがふまえられていないこと。 

 政府による上記法案の国会への提出は20131025日、衆議院において審議が開始されたのは117日になってからにすぎないにもかかわらず、1126日に衆議院において、125日、6日に参議院において強行採決をくりかえし、短時間のうちに与党議員の数に頼って法案を可決した。本法案のようにその問題の重大性が数多く指摘され、また、国内外から反対や憂慮の声が多く上げられている法案が、このように熟議のプロセスをとらず、民意を無視する形で採決された手続きの進め方は、それ自体、民主主義の根本原則に反するものである。


2.       学問の自由を含め、基本的人権を著しく不当に制限する法律であること。

 本法は、すでに多くの法学者、法律家によって指摘されているように、市民の知る権利と報道の自由、プライヴァシーの権利など基本的人権を深刻に蹂躙する可能性を持っている。政府の側での情報漏洩を防ぐ目的と、市民の知る権利その他の民主主義的権利のあいだにいかにバランスをとるかについては、国際的基準としてすでにツワネ原則が示されている。本法は、市民の権利を著しく制限し、民主主義の制度的保障を怠っている点で、完全に同原則から逸脱するものである。

 また、本法によれば、歴史学研究にとって不可欠の史料調査も、特定秘密指定によって妨げられるばかりではなく、歴史研究者の研究活動自体が違法とされ、刑事罰を受ける可能性がある。また、そのことによる萎縮効果によって、著しく学問研究が阻害される。

 

3.       情報の公開が著しくかつ不当に制限されること。

 本法により特定秘密に指定された事項の公開が義務づけられるのは60年後であり、しかも、その期限を過ぎたのちも部分的に特定秘密指定を続けることが可能となっている。

 これは、現在および後代の歴史研究にとって不可欠な史料が、まさに永遠に閉ざされてしまうことを意味し、今後の歴史研究にはかり知れない損害を与え、その正常な発展を妨げる。

現在でも、日本の史料公開状況は欧米諸国と比べ、はるかに遅れており、今必要なのは新たな「秘密」の拡大ではなく、より広い情報公開の方であろう。

 

4.       民主主義を脅かすこと。

 民主主義は、市民の知る権利、報道の自由、学問の自由が最大限に尊重されてはじめて可能となる。本法によって、民主主義の根幹が脅かされる。そもそも歴史史料の公開のみならず、現在進行形で生じる様々な政治・社会に関する情報の透明性を確保することこそ、市民が政治を監視、チェックする唯一の手段となるはずである。

 

 このように内容において、また成立のプロセスにおいて重大な問題がある本法は、民主主義と基本的人権、およびあらゆる学問研究と教育にとって重大な脅威である。

 よって本会は、今回の法案採決に抗議し、国会の手続きによって本法を、その施行以前に、可能な限り早期において廃止することを求めるものである。

 
現代史研究会
代表 木畑洋一




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